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男が振り向こうとした時
「…女を盾に取るなんざ、随分と根が腐った野郎だな」
と、ハルに刀を突きつける男の背後から偉く不機嫌な声が聞こえるとハルが、はっ!と顔を上げ
『…この、人を小馬鹿にした言い方は!』
と声の主をすぐに察すると
「土方さん!」
と首だけ振り返り戸の方を見遣ると
「あ?んでお前が俺の名前知ってんだよ…はっ、わりぃが俺はガキには興味ねぇからよ」
と若干勘違いをして、にやりと笑う土方が戸にもたれかかって行く手を塞いでいた。
「だ、誰があんたな」
誰があんたなんか好きになるか!とハルが言いかけた時
「よぉ、源さん…こんな雑魚にいつまでかかってんだ。ったく、一服終わっちまったじゃねぇか」
と煙管を吸う仕草をして片口の端を上げて話す土方に
『え・・・一服?じゃ、じゃぁ…あたしが危険な目に遭っている時に、この人は悠長に煙管吸っていたっていうの?』
とハルが呆然と土方を見つめていたが、徐々に怒りが込み上げ文句を言おうと口を開く。
だがその瞬間、男がハルを引っ張りそれを阻んだ。
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