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少女の下からの鋭い視線に
「あ?んだよ」
と土方が上から負けじと睨み返すが、すぐに
「はっ。俺はこんなガキ相手に何ムキになってんだ。阿呆らし・・・源さん帰るぞ」
と頭を掻きもう一度少女を一瞥すると、ふんっと鼻を鳴らして『源さん』と呼ばれた優しそうな男たちと共に神主に会釈すると帰っていった。
これが少女と後の新選組副長、土方歳三と六番隊組長、井上源三郎との出会いだった。
「な、なんなのあの人!」
少女は初対面の男に「ガキ」呼ばわれされ憤りを感じていると、そんな少女の背後から
「…さて、娘さん。そろそろ帰った方がよいのではないかな。家の人が心配するといけない」
と神主が優しく話しかけるが、それと同時に少女の顔が曇った。
「どうしたのかね?まさか迷子になったわけじゃな「あの…そのまさか…みたい…です」
神主の問いに少女が俯いて答えると
「では、どこの村からきたのかね?うちの者に送らせよう。心配はいらない」
神主が更に優しく話しかけるが
「すみません。どこから来たのかも…わからないみたいです」
と少女が震える声で答えると暫く沈黙が続いた。
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