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昼。
おれは昼食を買うため、平塚と羽村、3人で購買へ向かっていた。
「珍しいな、おまえら。いつも弁当持参なのに。」
聞けば平塚は、母親が寝坊したからだという。
羽村は自分で作った弁当がある。
平塚が買いに行くのを付いてきただけらしい。
お熱い事で。
半ば呆れながら歩いていると、また嫌なヤツと遭遇。
やけに頻繁に会う事に、神はおれを嫌っているのか、と呪わざるをえない。
「げっ、アイツ昨日のヤツ?」
羽村が反応する。
どうもガタイの良い人間が苦手なようだ。
おれもその苦手な人間の一人らしいが。
「石川リョウ…とか言ったっけ?アイツ水泳部に入ったのか?」
「ああ…」
石川リョウは、こちらに気付くと近付いてきた。
「どーも。」
「二人とも、早く行こうぜ。」
おれは、無表情で挨拶をする石川リョウを無視して、平塚と羽村に先へ行く事を促した。
しかし石川リョウは、それを許さなかった。
「あんたが、平塚ナオ?」
「えっ、オレ?」
石川リョウは平塚に話し掛けた。
平塚は、自分に話し掛けるのが不思議だったようで、目を見開いていた。
まさかアイツ…
“あの事”を口にする気じゃ…
「な、なんだよ…」
後退りする平塚を、何も言わず睨み付ける石川リョウ。
ピリピリした空気が流れる。
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