序章

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ましてや男同士、なんて。 二人が付き合う事に、最初は驚いたし、猛反対だった。 それでも理解できたのは、二人の気持ちを知ったから。 精神的な、繋がり。 おれには知り得ない、尊敬すべき心理。 それが分かったから、応援しようと思えた。 二人の事がなければ、おれは考えもしなかった。 愛情に壁はない事を。 だが考えたからと言って、おれのスタイルが変わるワケじゃない。 ヤリたい時にだけ会える、都合の良い女さえいれば、充分。 いや。 矛盾してるな。 自分でも分かってる。 そんな風に、独りが気楽みたいなカッコつけた持論を振りかざしながら、どこかで求めてるんだ。 そして憧れてる。 精神的な繋がりってヤツを。 愛情ってヤツを。 そんな矛盾にも気付いちまう自分が、愚かで情けない。 腹立たしい。 いつかおれにも…なんて希望に似た気持ちがある自分を、どうして好きになれようか。
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