視線

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「一年生だ!初々しいな~!」 そうか? 別に、制服が新しいってだけで、1コしか違わないんだから見た目にゃ分かんねえだろ。 「そーいやマコトは、部活紹介で壇上に立つんだよな!」 「ああ。」 そうなんだよ。 めんどくせえ。 「えっ、すごい!間宮、部長だったっけ?」 「次期、な。」 自慢だが、おれは水泳部のエースだ。 「中学の時からスゴかったもんな~!部長やってたし!」 そう、すごいのだ。 だから女も寄ってくる。 絶える事はない。 そのせいだろうか。 考えが麻痺しているのは。 「ん…?」 「どうした?トオル。」 ふと羽村が、険しい顔でおれの後方を見やる。 「なんか、あの人、さっきから、じぃ~…っとコッチ見てるような気が…」 ホモカップルのお前らに気付いて不思議がってんじゃねえのか? と言おうとしたが、やめた。 「ホントだ…なんか、ガタイがよくて、威圧的だな…」 ほう。 「ノシてくるか。」 売ってくるなら買ってやる。 おれの持論その二。 「ちょ、ちょっとヤメなよ!一年ぽいし…」 なおさら教えてやらなきゃダメだろう。 おれにケンカ売った事が、どれ程愚かなことか。 おれは振り向いた。
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