視線

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おれや羽村より、少し背の高い男は、確かにこちらを見ていた。 体も、おれなんかよりデカイ。 日焼けしている。 なにかスポーツでもやっているんだろうか。 殴り合いなら、負ける気しねえけど。 「こ、こっち来る…」 怯えた声を出すんじゃねえよ。 まあ羽村は、いかにも弱そうな体つきしてるけどな。 男は、真っ直ぐこちらへ向かってくる。 なんだ、やる気か? 「シカトしよーよ、マコト!関わっちゃマズイって!」 「怖いならあっち行ってろよ。別におれなら平気だし。」 腕を引っ張る平塚。 だがもう遅い。 目の前に立つその男は、間近で見ると、さらにデカイ。 そしてその視線は、おれのみに向けられていた。 おれに目を付けるとはな。 平塚や羽村のほうが、からみやすいと思うんだが。 「間宮マコト先輩っすね。」 威圧的な態度。 見下したような言い方。 よし。 半殺し決定。 「誰だよ、おまえ。」 羽村もおれより背が高いが、これほど顔の角度を上げなければいけないヤツは、初めてだ。 コイツがどんなヤツにしろ、気に食わねえ。
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