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「じゃあ、私の家ここだから」
そう伝えると、また愛想良く手をブンブンと振ってくる。
「じゃあまた明日な!」
え?
「またあの階段の一番上で待ってるから」
えぇ!?
「絶対来いよ、ミチル!」
それだけ言うと、背を向けて歩き出した。
命令口調だし、名前呼び捨てだし…。でもなんだか憎めなくて一応後ろ姿に手を振ってみた。
「ただいまぁ」
リビングに入るとお母さんは何かを飲んでいた。
「おかえり。ミチルも飲む?」
お母さんはカップに口をつけながら言う。
「何飲んでるの?」
カップを置いてフフッと笑うと「ローズヒップティーよ」だって。
「いつまでたっても綺麗でいたいじゃない?」
またテレビに影響されたに違いない。
「うん、飲む」
ちょっと付き合ってあげても良いかな、なんて思って。あ!
バッグの中から図書室で借りた本を出してテーブルの上に置いた。
「はい、お待たせ」
お母さんからカップを受け取りながら言う。
「借りてきたよ。私は読んでないから内容は分からないけど」
「ありがとう!」
お母さんは早速本を受け取ってパラパラめくり始めた。
初めて飲んだローズヒップティーは酸っぱくて、でもほのかに甘かった。
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