不良少年

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「福田先輩~!」 「頑張って、福田先輩っ!」 昼休み、女子生徒が集まるのは中等部の体育館。 バスケットをする男子生徒の中で最も目立つのは、背が高くて活躍する福田カズミ先輩。 「見て見て、マジカッコいいんだけどっ!」 興奮気味に話す親友のマミ。 「うん、カッコいいね~」 私も福田先輩のプレーを見ながら答える。 「中等部3年、成績優秀、運動神経抜群、品行方正、容姿端麗、背も高くて人望も厚い生徒会長!」 最近四文字熟語がマイブームらしいマミは福田先輩を褒めたたえる。 あ、ジャンプしながらシュート。ボールは弧を描きながらゴールの中へ吸い込まれる。 途端に黄色い歓声。 「福田先輩ー!」 「ナイスシュート!!」 わぁ、3ポイントシュートだ。 福田先輩はチームメイトとハイタッチ。 予鈴5分前にマミと私は体育館を後にする。 「ずっと観てたいなぁ…。どうして福田先輩と私、こんなに年が離れちゃったんだろう」 悲劇のヒロインになりきっているマミに相槌を打ちながら、初等部6年の自分の教室へ。 「そう言えば、今日も来てないよね、福田君」 マミが小声で話しかける。私の前の席はいつも欠席。6年で同じクラスになってから彼の姿はほとんど見ていない。
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