25人が本棚に入れています
本棚に追加
「福田先輩~!」
「頑張って、福田先輩っ!」
昼休み、女子生徒が集まるのは中等部の体育館。
バスケットをする男子生徒の中で最も目立つのは、背が高くて活躍する福田カズミ先輩。
「見て見て、マジカッコいいんだけどっ!」
興奮気味に話す親友のマミ。
「うん、カッコいいね~」
私も福田先輩のプレーを見ながら答える。
「中等部3年、成績優秀、運動神経抜群、品行方正、容姿端麗、背も高くて人望も厚い生徒会長!」
最近四文字熟語がマイブームらしいマミは福田先輩を褒めたたえる。
あ、ジャンプしながらシュート。ボールは弧を描きながらゴールの中へ吸い込まれる。
途端に黄色い歓声。
「福田先輩ー!」
「ナイスシュート!!」
わぁ、3ポイントシュートだ。
福田先輩はチームメイトとハイタッチ。
予鈴5分前にマミと私は体育館を後にする。
「ずっと観てたいなぁ…。どうして福田先輩と私、こんなに年が離れちゃったんだろう」
悲劇のヒロインになりきっているマミに相槌を打ちながら、初等部6年の自分の教室へ。
「そう言えば、今日も来てないよね、福田君」
マミが小声で話しかける。私の前の席はいつも欠席。6年で同じクラスになってから彼の姿はほとんど見ていない。
最初のコメントを投稿しよう!