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「そうだね」
私の答えに「まぁ仕方ないよね」と。
「あんな優秀な兄がいたら絶対比較されるもん」
肩をすくめるマミにそうだよね、と頷いてみせた。
福田君は、福田先輩の弟。あんな注目を浴びる兄を持つ福田君への風当たりは、自然とキツかったのではないかと予想できる。
そんなある日のこと、家に帰るとお母さんが泣いていた。
「ミチル、お帰り」
そう言うと再びテレビに釘付けになるお母さん。
驚いた…。何かあったのかと思ったよ。
「ただいま」
世間のオバサマ方がハマった韓流ドラマ。今はそのドラマの感動のエンディングの最中だったらしい。ハンカチ片手に大泣きしてるし…。
「このドラマも最高だったわ~。やっぱり時代は純愛よね!」
お母さんはうっとりとした表情でそう言うとお菓子を出してくれた。
「そうだ!ミチル、今度学校の図書室で純愛小説借りてきてよ」
私は思わずビスケットを取り落とした。
「何で!?」
お母さんは呑気にビスケットを摘みながら言う。
「だってさっきので全部見終わっちゃったし、市立の図書館の駐車場、車停めにくいんだもん」
お母さんは口を尖らせた。
「えぇ~?」
特別教室棟だって初等部教室棟から遠いし、5階の一番端なんだよね…。
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