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ぱたん、と靴箱を閉めて「そうだよな、よく間違うんだよ」と。…さっき出席番号1番違いって言って自分の記憶力自慢してなかった?
私の疑惑の視線に気付かない彼は靴箱を開く。そして靴箱の中に入っていた紙の束をバッグに突っ込む。
その時ヒラリと落ちた1枚の封筒。パステルピンクの封筒に、同系色のハート型のシールに女の子の名前。
「ラブレター?」
意外とモテるんだ、なんて思いながら手紙を拾って渡そうとするとひったくられた。
「よく見てみろよ、ホラ」
封筒の表には『福田カズミ先輩へ』と。
「告白する勇気のない女子が何故か俺の靴箱に入れてくんだよ。直接兄貴の靴箱入れりゃいいのに」
ちょっと不機嫌になってそう言う。やっぱり比較の対象の先輩の事、嫌いなのかな?
「福田君はお兄さんと仲悪いの?」
私の問いに、私の顔を見ながら答える。
「ううん、兄貴は大好きだよ。カッコいいし、色々教えてくれるし、自慢の兄貴。俺が嫌いなのは、兄貴と俺を比較する奴や、兄貴目当てで近付いてくる奴」
ドキリとした。自分だって、もしかして心の奥底では先輩と近付く為とか考えてなかった…?
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