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でも手を振りほどく気配はない。
「同情なんかじゃないよ」
それ以上言葉を繋げずに、ぎゅっと手に力を込める。
すると彼も手をぎゅっと握ってきて、驚いた私は彼を見る。
「…ありがとな」
わ、不良みたいな格好してるのに照れ笑いしたんですけど!
「…何だよ」
私の顔を見て福田君はちょっと不快そうな顔をする。
「福田君も、私と同い年なんだなって思って」
言うと「何だよそれ」って言って笑った。
意外といい人かも。
「…ってかさ」
珍しく瞳を合わせずに話しかけてきた。
「何?」
ちょっと言いにくそうにしてる。
「…手、繋いでんの恥ずかしくねぇ?」
うわっ!
そうだよ、忘れてた!!
慌てて離そうとすると彼はまだ手を握ったままだ。
「でも、もうちょっと繋いでたい」
きゅ、とさっきよりちょっと強く手を握られて、途端に頬が熱くなったのが分かる。
「よく図書室行くの?」
彼は全然平気みたい。瞳を合わせて訊いて来るのでちょっと悔しくなったから、私も瞳を見て答える。
「ううん、遠いからほとんど行かない。今日は特別だよ」
彼はふぅん、とつまらなさそうな反応をする。
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