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その日の空には雲がなく、ひどく日差しが強かったのを覚えています。
いつものように森に入り薬草を摘んでいたわたしは、道を途中で間違え森の奥にまでやってきてしまいました。
そこは今まで一度も足を踏み入れたことのない場所で、苔むした木々の幹に寄り添うように見たこともない植物達がひしめきあっています。興味本位で見て回っていましたが、気が付けばどの方向からやってきたのか分かりません。
大変です、家に帰れなくなってしまいました。
わたしは太陽の向きで方角を知ろうとしましたが、高い高い木々達が邪魔をして太陽がどこにあるか分かりません。記憶をたぐっても思い出せません。そして、こんな森深くまで来てしまったら、助けを呼ぶことも出来ません。
このままわたしは森に住むことになってしまうのかしら。でも生のまま食べられる植物はあまり多く知らないわ、と思いながら草木を掻き分けていると、何やら黒い物が落ちているのが見えました。
なにかしらと近付いてみると。
それは人の頭でした。
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