墓掘りの噺

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穴を掘る 穴を掘る シャベルを地面に突きつけて穴を掘る 僕の足元には大切なヒトが眠っている 清楚な白いワンピースを着て眠っている ザクザクと、土を地面から掬い出す 大切なヒトに腐葉土がかからないように気をつけて土を外に出す だけど地面にシャベルを突きつける時はとても乱暴 手の甲に浮かんだ血管に土の混じった汗が流れ落ちるその汗はダラダラと流れて掘った穴に流れていった 穴の大きさは縦の長さが170センチぐらい横の長さはは50センチぐらい深さは100センチ程度 その穴の中に涙がこぼれ落ちた 汗と 涙と 口から漏れる嗚咽と一緒に垂れる唾液 そして、握り続けたシャベルのせいで出来た血豆が割れて滴る血液 僕の体から流れる様々な液体は穴の10センチぐらいを埋めてしまった その中に大切なヒトを寝かせる プカプカと僕から流れた液体の上にその人の体は浮かんだ 僕は名残惜しく暫くその人の事を見つめていた だけどお別れだ 僕はその人のきれいな体躯に土をかけた ザクザクと 土をかけた 暫くするとその人は埋まってしまった こんもりとした土の上に僕は先に作っておいた十字架を突き刺した キチンと真っ直ぐに突き刺した 「じゃあね」 僕は最後に呟いた 今まで 一緒に居てくれてありがとう
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