食人鬼の噺

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レを、骨の一本までしゃぶりつくした。 そして、綺麗にしゃぶりつくした骨を丁寧に並べると、合掌した。 その日から、少女と食人鬼の距離はグッと縮まった気がした。二匹の食人鬼は、毎日腹が減ると山を少し降りて、そこにやって来る人間を殺して、食べた。そして、眠くなると、寄り添って眠った。 そんな日が、何日も続いた。少女は幸せだった。食人鬼も幸せだった。二匹は、幸せだった。 しかし、そんな日が何日ももつわけがなかった。 ある日、山にハンター達が登ってきた。もう、何十、何百という人間が殺害されているのだ。ライフルを背負ったハンター達はギラギラとした目で二匹の姿を探した。 その様子を少女は不安に満ちた目で見つめていた。そして、その不安な眼差しを食人鬼に向けると、食人鬼は優しく少女を抱き寄せた。今までの食人鬼からしたら考えられない行為だった。 食人鬼達はハンター達が去るのをジッと行きを潜めて待っていた。そして、ハンター達が帰ろうとしたので少女はホッと胸を撫で下ろすと、バキッと、落ちた枯れ枝を踏んでしまった。そして、それに気付いたハンター達は食人鬼達が隠れている木陰を探ろうと近づいてきたので二人は逃げた。それに
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