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「はじめまして、山元君からよく律ちゃんの話は聞いてるよ」
目の前にいるヒョロヒョロという言葉がピッタリの棒みたいに細く、色白の男性は自分の手を差し出し私に握手を求めた。
彼は遥さんが働く会社の編集長だそうだ。
「今日はよろしくお願いします!」
私も手を差し出し握手を交わす。
「緊張しなくていいからね、リラックスリラックス」
彼はネクラそうな風貌に似つかわしくない柔らかい笑顔を私に向けた。
包み込むようなその表情は私の緊張をほんの少しだが解きほぐしてくれた。
そして私と遥さんは控え室に通され、しばしの間撮影の順番待ちをする事になった。
いつ呼びに来るのかと思うと、かなりドキドキものだ。
「大丈夫よ律ちゃん」
私の緊張が伝わったのか隣に座る遥さんは私の手をきゅっと握る。
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