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「うっ…」
母を見るなり私の目からは涙が溢れ出してきた。
母の表情と雰囲気から認めたくなかった全てを感じ取ってしまったからだ。
「おばあちゃん…おばあちゃんがぁー」
私は立ったまま溢れる涙を堪えきれずまるで幼い子供のように泣きじゃくった。
「大丈夫、大丈夫よ律…」
母は私の元へ来ると包み込むようにそっと私を抱きしめた。
私は母の腕の中で張り裂けそうな心の傷みと戦いながら泣き続けた。
私はもう中学生だ。
だからもう子供じゃない。
だけど、こうして母にずっと抱きしめてもらいたかったんだ。
目に見える母からの愛情をずっと欲していたんだ。
その願いがこんな形で叶うなんて、皮肉過ぎる…。
「律は優しい子ね」
涙が止まって顔を上げると母はそう言ってグシャグシャになった私の顔を優しくティッシュで拭ってくれた。
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