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祖母の家に着くといつもの優しく物静かな雰囲気は全くといっていい程なかった。
もうすでに親戚達が集まっているのだろう。
車が何台か停まっている。
主を失った古い木造の家は悲しみに暮れ、うなだれているように見える。
「あぁ久しぶりだね」
私と母が家に入ると初老で小太りのおじさんが近付いてきた。
「お久しぶりです」
そう言って頭を下げた母につられて私もその動作を真似る。
「律ちゃんだね?大きくなったなぁ、もうすっかり娘さんだ」
おじさんは銀歯をキラっと光らせながら目尻を下げる。
ひるんで固まっている私に、お父さんのお兄さんよとそっと母が教えてくれた。
お父さんもこんな感じの人だったのかな。
「さあ上がって上がって母さんは奥に居るから…」
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