突然の別れ

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おじさんは私達のようにおばあちゃんに会いに来た人の対応などであくせくと動き回っているのだろう。 訃報を聞いて仕事場からそのまま駆けつけたと思われるワイシャツはびっちょりと汗で濡れて、背中に張り付き気持ちが悪そうだ。 いつもは客間として使われている広めの和室にはおばあちゃんが布団に寝かされていた。 「今日うちのが胸騒ぎがして様子を見にきたら、もう死んでたらしいんだわ」 おじさんはそう言うけれど私はここに来て現実味がなくなってきた。 布団に横になっている人の背格好は確かにおばあちゃんそのものだ。 けれど白いガーゼで覆われているため顔が全く分からない。 ガーゼを捲ったら別人が…。 そんな気がする。 「お顔を見てもいいですか?」 母がおじさんに聞いた。 「ああ、見てやってよ」
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