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「また、こずかい減らされちゃってな」
「いやぁ、どこも不景気なのかねぇ」
火葬が終わるのを待っている間、親戚達はそれぞれの近況話をしたりして、先程までの重々しい空気が嘘のようだ。
まるで演技でもしていたのではないかと思う位に。
そして本当はおばあちゃんも死んでいないのではないかと思う位に。
けれど、それは私の願望であって、実際はおばあちゃんはもうこの世には居ない…。
どんなに泣きわめいても、欲しいものが手に入らないのは今も昔も同じだった。
もう子供ではないから分かっていた。
どんなに泣いてもおばあちゃんが戻って来ない事くらい。
だけど、そうするよりほかなかったんだ。
「律ちゃん、お菓子食べな?」
親戚のおばさんはそう言いながら、目の前のお菓子が沢山のっているテーブルを指差した。
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