8316人が本棚に入れています
本棚に追加
「父は事故で地球に来たってこと?」
「そうよ。充さんは、愛する人と突然会えなくなって辛かったようよ」
沙耶は、そう言うと、ぼくのズボンのベルトに自分のベルトの金具をガッチリとはめ込んだ。
「そりゃあ、誰だって愛する人と会えなくなったら辛いよ」
ぼくは、凜のことを父の苦難と重ね合わせていた。
「でもね、地球は、愛する人のことを忘れさせるくらい美しく豊かな星だった」
「そうなんだ。ぼくにはただの星に見えるけれど」
「違うわよ。地球は本当に素晴らしい星なの。やがてあなたのお父さんは、私の母、神藤未来のことを忘れ、小出瑠璃花さんと出会ったの。瑠璃花さんは、もちろんあなたのお母さんよ」
「なんか、とても難しいよ」
「確かに複雑だわ。理解できなかったら、それでもかまわない」
.
最初のコメントを投稿しよう!