ある男の日記

12/26
前へ
/29ページ
次へ
……年 12月5日 今日は仄のために炬燵を出してやった。ニャーンと喜ぶ姿を見ていると、毎年出してやっていい気もする。 ……実は仄を捨てようかと思った。ダンボールに入れて、道端に置いて。人の言葉を喋って、尻尾が二本で、それでいて妖怪かもしれない。 正直いって不気味極まりない。仄が溶解で、食われて、死んでしまうかもしれない。 仄と一緒にいれば、いつか俺は死んでしまう。そんなのは嫌だ。まだ若いし死にたくない。だったら捨ててしまえば。 でもやめた。 食われたくない。死にたくない。 それでもやっぱり仄といたい。 俺のことなんかいいから、長生きしてくれよ。あ、でもやっぱ一緒にいたいな。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加