ある男の日記

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……年 12月15日 最近日記が仄の観察日記になっているのは気のせいだろうか。 今日の朝、目が覚めると腕のところに仄がいなかった。 いつもならベッドに潜り込んで俺の腕を枕にして寝ているというのに。 その代わりに妙な違和感があった。 俺が横向きに寝ていると、後ろに抱きつかれているような感触があったのだ。 俺は恐る恐る起きて振り返ると、そこには頭に猫耳を携え、尻の方から二本尻尾が生えている少女が安らかな寝息を立て、素っ裸で寝ていたのだ。 とりあえず近所の交番にゴー。 と思ったが、その子の髪を見ると、真っ黒な髪の毛にひと房、灰色の毛が淡く朝日を反射していた。 間違いない。この毛は仄だ。いやゴメンその時は確証ありませんでしたが。 従って今俺の膝を枕に寝ている少女は仄だと思われる。本人もそう言っていたし。 多分、もう病院行っても治らないと思う。いや、病気じゃないけどさ。
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