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肉を切り裂き、骨を断ち切る音が響く。鮮血が雨のように降り注いでいた。
「あはっ! 弱い弱いっ、玩具みたいに壊れていくよ!」
「くっそおぉお! 何なんだ、何なんだよお前達! 何が目的でこんな――」
闇をも思わせる、暗い、昏い部屋。広く大きいその部屋には絨毯が敷かれ、足元は柔らかい。壁に掛けられた燭台は全て倒れ、天井にある筈の魔術光は破壊されていた。
「五月蝿いわね。あんた達が悪いのよ? あたし達の提案に乗らないから。だから、こうやって訴えかけるしかなくなるんじゃない」
その言葉と共に、また一つ人間の肉塊が転がる。上半身と下半身に分断された肉塊は、しかしなお意識を保ち、いきなり現れた脅威を睨み付ける。
「お、おのれ……ルフラン様さえ、いれば……」
元々豪勢な部屋だったのであろうその部屋は、所々が砕け、破砕されていた。床に敷き詰められた絨毯は、大量の血液によって赤黒く染められている。
「無駄よ、無駄。わざわざそのルフランっていう神官長がいない時に来たんだから。まぁ、いてもあたし達には勝てないでしょうけど」
絨毯の上には人の肉塊が多数転がっている。上半身と下半身がちぎれた人、腕や足がもげた人、斬撃によって内臓が飛び出ている人。
誰もが致命傷を受けているのに、誰も死んではいなかった。
「ねえ、もっと抵抗してよ! このままじゃ、僕がつまらないじゃないか!」
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