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そう叫びながら、純白のローブを鮮血に染めた小柄な少年は、次々と手に持った剣で僧服を着た神官達を斬り刻んでいく。
下から振り上げられた刃に腕が骨ごと切断される。横に凪いだ刃によって頭と胴が離れる。上段から振り下ろされた刃で胸から斬られ、内臓が飛び出る。
黄金の髪に、白銀の瞳。闇に輝く神々しいその姿は、しかし今は狂喜に彩られていた。
「あっはははは! ホントに人属っていうのは脆弱だね! 脆過ぎるよ!」
「その辺にしときなさい、ラグリルド。仕事が出来なくなるわ」
少年――ラグリルドの傍らには、ラグリルドと同じ純白のローブを――しかしこちらは一滴の血液も着いていない――着た、ラグリルドと同じ黄金色の髪に、白銀の瞳を持った女が立っていた。
「いいじゃん別に。どうせ皆死んじゃうんだからさ、クレイ。今だって、なんでこいつ等生かしてんのかわかんないよ」
「馬鹿。ホント馬鹿。もっと頭使いなさいよ。それにあたしの名前はクレイオスよ。いい加減覚えなさい」
クレイと呼ばれた女は頭を抱え溜息をつく。
「バカバカ言わないでよ。僕だってちゃんと頭使ってるし。それにクレイの名前くらい覚えてるってーの」
ラグリルドは斬撃を繰り出している手を休めると、クレイオスに向かっていー、と歯を剥き出しにする。
クレイオスはそれを見ると呆れたように頭を振る。
「はぁ……いい? ラグリルド。今のあたし達にはヴァルキリーみたいな力は無いのよ? そんな状態でこいつ等殺しちゃったらせっかくの戦力が台なしじゃない」
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