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それに、とクレイオスは続ける。
「カギの在りかがわかってるのが此処ともう一つ。此処はどうにかなるけど、グランセルムには魔王がいるのよ? 今のあたし達なんてすぐに消されちゃうわよ」
切り刻まれた肉塊から呻き声が漏れ、広がり、部屋中に反響する。
「魔王……? あー……、確かにバルドルが言ってた気がするなぁ。いくら僕でも魔王は怖いしね。まだ死にたくないし。てか、クレイこそ何時になったら僕のことラグって呼んでくれるわけ?」
「いつかよ、いつか。まぁ、要するに、魔王対策の為にこの国の軍隊が欲しい訳よ。わかる? わかりますか、お馬鹿なラグリルド?」
「なんか、すごーくクレイを殺したくなるような……」
そんなラグリルド――ラグを無視して、クレイオスは足元に転がっていたちぎれた手や足を蹴飛ばしながら、一人の人間の前まで歩を進める。
きらびやかな法衣を身につけ、王冠を被った初老の男性は、尻餅を着いたままクレイオスが近付くごとにずりずりと後ずさる。
やがてどんっ、という衝撃と共に動きが止まる。部屋の中央にある段差に突き当たり、それ以上下がれなくなった。クレイオスが追い付く。
「貴方、ルージス法皇でしょ? ちょーっと頼みたいことがあるんだけど……今度は聞いてくれるよね?」
クレイオスはルージス法皇の前でしゃがみ込むと、微笑みながら、しかし圧倒的な重圧を放ちながら話し掛ける。ルージス法皇は額に脂汗を滲ませていた。
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