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「全員着剣して待機しろ!」
大量の雨が降り注ぐ塹壕に命令が響く。そして素早く各自が鞘から銃剣を抜きライフルに装着する音が聞こえる。
「少佐! スチュアート少佐!」
後ろからこの大隊を指揮する、スチュアート・ブラックウッド少佐を呼ぶ声がする。
スチュアートは憂鬱そうに振り向いた。 「何だ、ワイク少尉」
スチュアートは幾分皮肉を込めて言った。この新しく配属された新米少尉は今朝から同じ質問を繰替えしている。
「あの・・・・少佐殿・・兵を発車踏台に上げた方がいいのでは?」
「いや、まだ良いだろう敵さんもこの雨だ、移動に戸惑っているだろう」
「それに敵も塹壕に篭っているかも知れんぞ」
そんな訳ないのを1番知っているのはスチュアート自身だ。前線の主要塹壕線を突破し友軍を突き崩した敵がこのチャンスを逃す訳が無い。
「確かに・・そうかも知れませんね。 解りました。小隊に戻ります。」
少尉は、ため息をつくと自分の少隊に戻っていった。
その時、雨で視界の悪い塹壕の向こう側から雄叫びが聞こえる。
とうとう敵が大隊の防御線にたっしたのだ。
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