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徴兵という言葉を思い出してスチュアートは愕然とした。伝統ある我が軍では、常に志願制だった。
国王陛下のために志願し戦うのは、臣民の義務であり名誉であった。しかしそんなプライドを近代戦争は木っ端微塵にしてしまったのだ。
スチュアートは感傷に引っ立ている内に先ほど倒した敵兵を見てあることに気がついた。
背嚢を持っていない・・・
これが意味する事は一つだった。このドイツ軍のシュトームトルッペン(突撃部隊)は、長期の作戦を考慮していないということだ。
通常の突破作戦では、突撃部隊は、三日分の補給品を背嚢につめて前進する。なぜなら敵の塹壕を征圧しても敵の砲撃で容易に本隊との補給線が分断されるからだ。そのため突撃部隊は友軍の部隊が敵の砲火を突破し増援に来るまで背嚢の補給品で戦わなければいけなかった。
しかしスチュアートは深く考えるのを辞めた。敵の意図探るのは、師団や軍団の参謀連中の仕事だった。スチュアートには差し迫った仕事があった。
「リチャード!阻止砲火はどうなっているんだ??」
スチュアートは近くに居た電信担当のリチャード伍長を呼んだ。
「大隊直轄の迫撃砲はもうすぐで布陣が完了するそうです。また師団砲兵も砲撃陣地に展開しだい砲撃を行うそうです。」
「くそ・・催促しろ速やかなる砲撃開始を望むと」
「了解しました」
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