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直哉と奈美は同じクラスにいながら、お互いに手は出していないし、話をしたこともない。
見たときにわかっていた。
自分と同じタイプの人間だと。
だからわざわざお互いを選ばない。お互い好きに自分の扱い易い異性を選び、それなりに遊ぶだけ。
「・・・俺は、いつまでこんなことやってるんだろうな?」
カーテンの隙間から入って来る光に自分の手を翳す。
直哉の小さな呟きは、誰にも聞き取られることなどなかった。
そんなとき、マナーモードに設定してあった携帯のバイブ音が学校カバンから響く。
ダルい体を引き起こし、携帯を取る。
「もしもし?」
「あぁ、俺。今大丈夫?」
電話の向こうからは聞き慣れた親友の声。
「悠真か。もうちょい早かったら真里さんと一緒だったんだけどな」
「・・・真里?お前の遊び相手の名前言われたって多すぎて覚えられねぇよ」
おどけたように笑う悠真の声を聞いてると、何か救われた気がした。
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