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放課後、悠真と帰ろうかと立ち上がったところ、一人の女子生徒に声を掛けられた。
そこに立っていたのは、萩本 結衣で、顔を上げてどうしたの?と聞いてみる。
「あの、竜崎くんか藤堂くんにお願いがあるんだけど、文化祭の木材運ぶの手伝って欲しくてっ」
俺ははっきり言って、そういう面倒なことが嫌いだった。
でもなんだか、その時はやってもいいか、なんて思っていた。こないだ嫌なことがあったから、その気分転換でもしたかったのかもしれない。
直哉が立ち上がって、
「じゃあ、俺手伝うよ」
と言うと、悠真が驚いたように直哉の方を見た。
どうせ直哉はやるはずがないと、自分が手伝うつもりでいたらしい。
それが見て取れた、直哉は、悠真に
「俺がやるからいいよ。おまえ、今日バイトだったろ?」
とだけ告げた。たしかに、このあとバイトが入っていた悠真は、悪ぃな、とだけ告げて教室を出て行った。
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