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「待ってよ、竜崎くん」
直哉のあとを追って、廊下へ出る。自分の鞄を直哉から受け取り、隣を歩いた。
「そうだっ。竜崎くんっての無しね。名前でいいよ、結衣ちゃん」
「えっ!?結衣ちゃんって・・・。えと・・・直哉くん?」
小さな声でそう呟く結衣。
「そう。これからそう呼んでね」
直哉の真意がわからず、結衣はえ・・・あ、えと、と言葉にならない声を発している。
そんな姿を見て、直哉は微笑みを溢しながら、駅までの道を歩いた。
「やっぱ家まで送っていこうか?」
直哉と結衣の家は方面は一緒だが、降りる駅は全然違う。まだ暗くはない時間だが、やはり女の子を一人で帰すのは、抵抗があった。
「大丈夫だよ。いっつも一人で大丈夫だし、まだ明るいし。今日はありがとう」
そう言って、結衣は先に電車を降りた。
「わかった、じゃあまた明日ね、結衣ちゃん」
片手を挙げて、直哉が言う。閉まったドアから見える直哉に向かって、結衣は手を降った。
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