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「今日は皆さっき言った通り、リビングで一夜を過ごそう。」
それが一番安心だ、と付け加えて改が言った。
「じゃあ皆!自分の荷物持って10分後に此処に集合!」
各自部屋に戻った。
しかし私は、皆が部屋に消えた後、反対に外へ出ていった。
麗を探したかった。
これで私まで消えたらどうしようとは思ったけど、それよりもまず麗を見つけるのが先決だと、誰にも言わず私はリビングを出た。
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「はあ、はあ。」
呼吸が苦しい。
麗はどこまで行ったんだろう。
ある程度走ったから、(まだ、いるなら、)そろそろ会える筈なのに。
そう思いながらもう少し行くと、見慣れた背中が見えた。
「麗。」
彼女が振り向く。
目の下には涙の線が浮かんでいた。
「麗、帰ろ?」
出来るだけ優しい声で言った。
麗の目からまた一筋、涙が溢れた。
「ひかっ、る、っ、…ごめっ、私、酷いっ事、言った…」
しっかりと喋れていない彼女を見て、微笑みが洩れた。
やっぱり麗も辛かったんだね。
そっと抱きしめてあげ、もう一度、帰ろうと言った。
麗は小さく首を縦に振った。
「中谷っ!」
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