迫り来る悪魔の手

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「今日は皆さっき言った通り、リビングで一夜を過ごそう。」 それが一番安心だ、と付け加えて改が言った。 「じゃあ皆!自分の荷物持って10分後に此処に集合!」 各自部屋に戻った。 しかし私は、皆が部屋に消えた後、反対に外へ出ていった。 麗を探したかった。 これで私まで消えたらどうしようとは思ったけど、それよりもまず麗を見つけるのが先決だと、誰にも言わず私はリビングを出た。 ** 「はあ、はあ。」 呼吸が苦しい。 麗はどこまで行ったんだろう。 ある程度走ったから、(まだ、いるなら、)そろそろ会える筈なのに。 そう思いながらもう少し行くと、見慣れた背中が見えた。 「麗。」 彼女が振り向く。 目の下には涙の線が浮かんでいた。 「麗、帰ろ?」 出来るだけ優しい声で言った。 麗の目からまた一筋、涙が溢れた。 「ひかっ、る、っ、…ごめっ、私、酷いっ事、言った…」 しっかりと喋れていない彼女を見て、微笑みが洩れた。 やっぱり麗も辛かったんだね。 そっと抱きしめてあげ、もう一度、帰ろうと言った。 麗は小さく首を縦に振った。 「中谷っ!」
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