迫り来る悪魔の手

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「嘘…麗、麗!!」 返事は、ない。 いつの間にかカラスの集団はいなくなっていた。   「中谷、一回戻ろう。 皆心配してるだろうし、この事も説明しねぇと。」 私は小さく頷いて平田の半歩後ろを歩いて帰った。       **   「光流!どこ行ってたのよ…。あたし、心配して…………」 別荘に戻ると誰よりも早く希美が私に抱きついた。 希美は半分泣いていて、しっかり最後まで言えていない。   「光流までいなくなったのかと思った。」   小さい一言が聞こえた。 心配かけてしまった。 ごめんね、と言うと 無事なら何でもいい。 そう言う彼女がとても好きなんだ。       「平田、中谷。麗はやはりいなかったのか。」 端通が言う。 私と平田は顔を見合わせた。   「麗には、会えた。 けど、目の前で消えたんだ。」   平田があのこけしを取り出し皆に見せた。
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