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「嘘…麗、麗!!」
返事は、ない。
いつの間にかカラスの集団はいなくなっていた。
「中谷、一回戻ろう。
皆心配してるだろうし、この事も説明しねぇと。」
私は小さく頷いて平田の半歩後ろを歩いて帰った。
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「光流!どこ行ってたのよ…。あたし、心配して…………」
別荘に戻ると誰よりも早く希美が私に抱きついた。
希美は半分泣いていて、しっかり最後まで言えていない。
「光流までいなくなったのかと思った。」
小さい一言が聞こえた。
心配かけてしまった。
ごめんね、と言うと
無事なら何でもいい。
そう言う彼女がとても好きなんだ。
「平田、中谷。麗はやはりいなかったのか。」
端通が言う。
私と平田は顔を見合わせた。
「麗には、会えた。
けど、目の前で消えたんだ。」
平田があのこけしを取り出し皆に見せた。
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