迫り来る悪魔の手

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      「光流。ちょっと良い?」 「ん。どーした?」   夜、皆が寝静まってから私は希美に話しかけられた。     「一緒に行きたい所があるの。」     そう言った希美と一緒に、私は別荘の外へ出た。 勿論、誰にもそれを告げる事なく。 皆疲れるから、わざわざ起こすのは申し訳なかったのだ。心配されたら、それはそれだ。             「どこにいくの?」     暫く歩いても全く伝えようもしない希美に私は問う。 何も喋らない彼女は怖かった。 が、希美を疑うなんてしたくないし、何より繋いだ手から感じる体温が私を安心させた。           「ここだよ。」       やっと足を止めた彼女が私の方を振り向き、笑いかけた         此処って………   「そう、私達の出会いの場所だよ、光流。」           そう其処は私達が幼い頃に、初めて出会った所だった。 無性に嬉しくなった。       「こんな状態だからさ、ゆっくり来る暇なさそうだから。 でも、どうしても二人で来たかったの。」       照れたように視線をずらして希美が言う。 私達の絆を再実感した。             「大好きだよ。」 「………私も。」             それだけで強くいられる。      
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