子供として、最後の春休み。 私達は・・・。

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「いない・・・」 消えた。 「携帯は?」 「圏外になってる。」 別荘から警察に電話する他に方法はない。 私達はそそくさと別荘に戻っていった。 「きゃあああ!!!」 別荘に入ってすぐ、誰かの悲鳴が聞こえた。 最後を歩いていた私は急いで中に入る。 「どうしたの!?」 「ごめん、ビックリして・・・。こんなの有ったっけ?」 彼女が示した物を見ると、なる程そこには今までは影も形もなかった[こけし]が有った。 にやりと笑う顔が無性に気味悪く感じた。 「とりあえず、今日は皆で此処にいようぜ。 なんか、なあ?」 巻野が言った。 最後を曖昧にしたのは、きっと怖いとは言いたくなかったのだろう。 「ああ・・・。」 平田が同意する。 良かった。これなら反対する者は出ない筈。 「ちゃんと全員いるよね? じゃあ今日は皆で過ごそっ? 皆で寝るとか小学校のお泊まり会みたいじゃ・・・「光流ちゃん! ・・・・・彼方君が、いない。」」 え? バリーン!! ガシャーン!!! 瞬間、窓ガラスが割れた。 中には、テーブルの上にあるのと同じ、こけしが有った。 これが投げ込まれて窓ガラスが割れたんだろう。 でも、誰が何のために・・・・。 「中谷。俺、なんとなく分かったかもしれない。」 クラスで一番の博識の端通 改が立ち上がった。 「どういうこと?」 私が尋ねた。 端通が静かに口を開いた。 「このこけし、何故作られるか知っているか?」
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