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「やっぱ仕事後のご飯はおいしいですねぇ」
美海は一人でうんうんと頷いている。
「な!左ノ!てめぇなんのまねだ!」
少し離れた所から叫び声が聞こえる。
「土方さんに酌しようと」
「よるな!気色悪い!」
「いいじゃんよぉ!」
今、女装した原田を必死に寄り付けないようにしているのは
土方 歳三。
新撰組副長。
隊士からは『鬼の副長』と恐れられている。
鬼の隊規『局中法度』を作ったのも彼だ。
漆黒の長い髪に切れ長の涼しい目。鼻筋も通っている。絶世の美男子とは彼のことだ。本当にイケメンである。
かなりモテるが、それを実家に送って自慢したり、豊玉発句という句集を自分でこっそり作ったりと可愛らしい面もある。だがそれが仇となって沖田や美海に嫌がらせを受ける。
一、士道ニ背キ間敷事
一、局ヲ脱スルヲ許サズ
一、勝手ニ金策致ス可カラズ
一、勝手ニ訴訟取リ扱ウ可カラズ
一、私ノ闘争ヲ許サズ
右条々相背ク候者ハ切腹申付ベク候也
というのが局中法度の内容でこれにより粛清された隊士は数知れない。
「お!原田さん早速やってるやってる!」
美海はニヤニヤと笑った。
「それより美海さん!後で部屋で見せたい物があるんですよ!」
沖田は目を輝かせている。
「なんだろう!楽しみです!」
幹部は一人一部屋用意されているのだが美海と沖田は同室だ。平隊士は大部屋で雑魚寝なため美海が女なことがバレないための配慮である。
沖田と美海は年も近く、仲が良いため誰も不審におもわない。
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