新 撰 組

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「ふぅー。おいしかったぁ…。で!なんですか?見せたいものって!」 美海と沖田は夕食が終わり、隊務もないため自室に戻っていた。 「実は……」 ガサガサと後ろに手をやる。 「ジャー――ン!」 「ぅおっ!沖田さん…それはまさか…」 美海と沖田は目を合わせ、頷く。 「「豊玉発句集!」」 「わぁ!凄い!よく取ってこれましたね!」 「えぇ。隠し場所が変わっていて少々手間取りましたが」 沖田は額を拭うふりをする。 「久々ですね…」 「早速見ましょう!」 「「行く年の 月日の流れ 蚊帳の外」」 沖田と美海はやはり声を合わせ、音読する。 「お!増えてる増えてる!次は…」 「「春の草 五色までは おぼえけり…」」 「五色までかよ!」 美海は思わず突っ込みを入れた。 「相変わらず面白いですねぇ」 「お笑いでも目指してるんでしょうか」 「「北の水 山の南や 春の月」」 「どういうことですか?これはいまいちわからない…」 美海は頭に「?」を浮かべている。 「んー…。たぶん山の南は山南さんで…春の月は土方さんが好きな言葉だから、山南さん好きみたいな感じですかね?」 ほらこことかこことか。 と沖田は春の月という言葉が使われた詞を指差す。 「確かによく使われてますよねぇ…」 ガラッ 突然障子が開いた。 「やーっぱりな…。またお前らかぁ…!」 「ぅわ!土方さん!」 「やはり来ましたか!」 土方が襖を塞いで立っている。額には青筋を浮かべ、顔はヒクヒクとひきつっている。
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