島原の明里

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ドンッ 「ぅわぁ…」 美海が予想していたよりも島原は大きく、まともだ。 もっといかがわしい雰囲気が漂ってると思ってたなぁ。 確か江戸は吉原ってとこなんだっけ? ガラッ 永倉が戸を開ける。 「あ!永倉様!お待ちしておりました。原田様達はいつもの部屋どす」 勘定にいた女の人が永倉に声を掛けた。 「おーう」 いつもの部屋って…そんな来てるのかよ…。 美海は軽蔑の眼差しを永倉に向ける。 「あら?あんまり見たことのないお客様やねぇ?……その髪…立花美海さん?」 「あ。はい?」 美海は不思議そうな顔をしている。 「へぇ…。あ!どうぞ!」 女の人は階段に手を向ける。 「?」 「美海!行こうぜ!」 美海はあまり意識していないが、京どころか全国の有名人だ。 前から京ではその髪の色と黒い刀で有名だったが、池田屋事変から新撰組の知名度は一気に上がった。 近藤や土方はもちろん、それに活躍していた沖田や美海なども更に有名になったのだ。 ガラッ 永倉が部屋を開ける。 「よっ!待たせたな。美海も連れてきた」 「お!美海かぁ!」 原田が嬉しそうに声を上げる。 ふと部屋を見渡す。 中々広い。 「え?藤堂さん?」 「どうしたの?」 部屋には藤堂もいる。 「藤堂さんもこういうとこ来るんですか?」 「平助も俺らとしょっちゅう来るよな!」 永倉が席につく。 へぇ…。人は見かけによらないなぁ。
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