7662人が本棚に入れています
本棚に追加
/858ページ
「ひ…ひぃぃぃ…!」
残りの浪士は怯えきっているものの、未だ刀を向けている。
「ちょっと~やめときなさいよ。どうせあなたたちが負けるんだから。痛くなくて捕まるほうがましでしょ?」
「沖田…なめやがって…!」
浪士達は意を決したように刀を構え、走り出した。
「はぁ…やるんですか…」
ペッ
少年は刀を構えると、口から竹串を吹き出した。
ドッ
ドンッ
ガンッ!
バタ…
速かった。この少年は浪士達を1人で峰打ち、足蹴で倒したのだ。一見華奢だが、その脚力と剣の腕は怪物ものだ。
「ふぅ…」
この少年は沖田 総司。
新撰組一番隊隊長。
髪は蒼に近い黒で優しそうな顔つきの好青年だ。
新撰組で1.2を争う程の剣の使い手である。
得意とする技は三段突きというものだ。
美海が来るまでは新撰組最年少であった。現在20歳である。
ちなみに極度の甘党だ。
天然理心流である。
「終わりましたね。じゃあ連れて帰りましょうか!」
隊士が浪士に縄を掛けている。
彼ら一番隊は今日、街の巡回に来ていたのだ。
新撰組は会津藩御預りの治安隊で京の治安を守るため、過激派不逞浪士や論者を取り締まっている。
彼らは『人斬り集団』などと呼ばれるが、本来なら捕縛の所、大抵は相手が斬りかかってくるため、やむ無く斬るのである。
そんな彼らは冷酷なのかと言われればそうではない。
最初のコメントを投稿しよう!