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「本当のことだろ!左ノを連れて行くといらない荷物が増える!」
「確かに…。仕方ないですねぇ…」
美海は渋々と動きだした。
「よ!男の中の男!」
もう一度言うが、美海は少女である。その事実を知っているのは現在この中では、沖田、副長の土方、監察の山崎ぐらいだ。
「あー…。もう…」
美海は羽織を脱ぐと永倉と共に再び屯所を出た。
ドサッ
「重っ!女中さん人使い荒いなぁ…」
美海はグチグチと呟いている。
「まぁまぁ」
そう言う永倉は一見軽々持っているが、さりげなく美海より多く荷物を持っている。
そういう些細な優しさができる男だ。
「あ!美海ちゃんやん!」
カランカランと下駄を鳴らせかなり美人な女性が髪をなびかせ走ってくる。
「げっ…その声はもしかして山崎さん?」
「げってなんやねん!ぴんぽーん!」
「山崎さん。美海のことちゃん付けで呼ぶのやめろよ…」
永倉が呆れた顔で言う。
「だって美海ちゃんは美海ちゃんやもんな!」
山崎烝。
新撰組一の監察だ。
ちなみに今は美人な女だが、本当は男だ。
密偵のため女装しているのである。大阪出身だ。
美海のことは女だと知っている。
極度のポジティブだ。
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