新 撰 組

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山南と他愛もない話をし、屯所の廊下を歩いていると前から人が来た。 「山南さん!後で稽古に付き合ってよ!」 「藤堂くん。いいけど隊士への稽古は終わったのかい?」 「うん!」 藤堂 平助。 新撰組八番隊隊長。 人懐っこく、小柄なかなりの美男子だ。 永倉、原田と仲が良い。 池田屋事変のときに額に槍が当たり、傷痕が残っている。 山南と同じく北辰一刀流だ。 「平助ー!これ見てくれよ!」 「しんぱっつぁん!」 きて!と永倉は物陰から人を呼ぶ。 「左ノ子でーす!」 「ぶはっ!」 原田は女装をしているのだがきもちわるいぐらい似合っていない。 口紅もおもいっきりズレていて、頬は真っ赤だ。 カツラだけが唯一フィットしている。 着物も大きさが合っていない。 「何それ!どしたの?」 藤堂は目に涙を溜めている。 「山崎さんの部屋から拝借したんだぜ!」 拝借と言っているが、勝手に忍び込んで勝手に借りているのだ。 今頃山崎の部屋はぐちゃぐちゃだろう。 「原田さん…キモいです…」 美海は軽蔑の目で見ている。 「キモい…?」 「きもちわるいって意味です」 美海は現代から来ているため普通に略語を使うが、この時代では通じない。 「うそっ!」 原田は口を大きく開けている。 「「ぎゃはははは!」」 何が楽しいのか藤堂と永倉は笑っている。
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