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対して『ジルクリスト・グラハム伯爵』は軍部の人間ではない。
クレイナード王の従兄弟に当たり、長年、王の助けとなり数多くの政策を打ち立てた政治家だ。
王の側近として誇りを持ち、王位を欲するような事もなく、クレイナードに富をもたらして来た。
グラハムはかつて従軍していた際にスレイザムの配下であった仲である。
「恐れ多いですな。息子もきっと喜びます」
グラハムには一人の息子がいる。
まだ九歳の子供だが、幼さを感じさせない知才を遺憾なく発揮している。
グラハムとスレイザムはこの子供を子宝に恵まれない王の後継者にと考えていた。
その考えは王も認め大層喜んだ。
そのため、王宮で教育しようとスレイザムが迎えに来たのだ。
グラハムも王宮勤めが多いので親子離れ離れになることもない。
いずれ王の養子として迎えられるだろう。
「して…………子は今どこに?」
「ご案内しましょう」
グラハムが先導してスレイザムを招く。
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