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その世界は完全に二つに分断されていた。というよりも住民は地続きの自国しか知らず他の国が存在する事すら知らなかった。
ただ自分達の世界の他に別の地域が在るという事を実感させる象徴的な物がそびえ立っていた。それは街外れの森林地帯にそこからの行く手を完全に塞ぐように延々と途切れない巨大な壁であった。その壁には一定間隔で監視所が上部に設置され銃口がこちらを常にうかがっていた。壁に少しでも近づこうものなら、まず警告のアナウンスが発せられ それでも退かなければ威嚇射撃が襲って来る。反応しなけば容赦無く射殺されるだけであった。
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