パラダイス・ロスト

経験

博士は意味不明な頷きを繰り返しながらブゥに手招きをし、同時にソラァは反対方向の階段を駆け降り、どこかの部屋へと消えた。

「優秀さもさることながら君の最近では珍しい人間深い反応には、こちらも胸がドキドキさせられたよ。初めからクローンではない元種の私の実の娘を引き合わせた甲斐があったよ。」

博士は今の様子を監視カメラで一部始終眺めていた。ブゥが廊下に出た時には既に用意されていたシチュエーションだったのだ。意図が掴めず困惑するブゥの表情さえも観察対象として楽しんでいる。