経験

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静かに博士は左腕の白衣とその下のシャツを捲り上げた。掌を見せるように差し出した肘関節の内側のあたりには無数の注射跡らしきものがあり青く変色までしている。 「これが君の望んだ答えだよ。もちろん今、頭をかすめたかもしれないが君に与えた書物などに記載されているアッパー系の麻薬の類いではないよ。」 実際、言い当てられた通りの内容が浮かんだし、そのレベルまでの情報しか閲覧可能な文献には無かったので、予めブゥがその種の薬品を推察したのも事実だった。 「では、それは何なんですか?。」 丁寧に身なりを整え終えてから博士は語り出す。
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