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ブゥの“越境”への願望は日毎に大きくなって行った。なにしろ未知なる世界への憧れであるので想像もキリがなく、今までは淡々と無心で行うのが楽だと信じていた農作業の最中にも頭を支配して、計画された労働に遅れを生じさせてしまうほどであった。
仮にも“自由”という観念を希望的にでも初めて脳内に芽生えさせてしまったのだから無理もない。労働・恋愛など生活全般において選択権が与えられたとしたら果たして自分はどのような暮らしを送るのだろうか?
思念するだけで胸の高まりは抑えられず、向こう側の世界に対する念願的憧憬は無限に膨らんで行った。
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