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そのような日々を重ね、精神のみならず肉体からも本来、ブゥの持っていた“未知の世界”への希求が蘇り始めた。そうなると頭の回転も飛躍的に上昇し今の生活からの脱出、そして新たな冒険へのアイデアが次々と浮かんだ。研究所内の物資や機材の保管室も既に把握している、データの書き換えの方法はマスターしているので時間をかければ満足いく装備で旅立つ事が出来る。
早速、地下の置き場から逃走に適した車両を選び、いつでも自在にロックを解除して使用可能に改造した。次は燃料や食糧の調達だ。
しかし焦って悟られてはいけない。いつものように部屋で学習している素振りも欠かさなかった。考えているのは、いつも先の計画であったが。
やがて時期が来たらしく博士の研究室からクローン達が政府の役人らしき連中に引き渡されて行った。隠れて様子を窺うしかなかったが、予め告げられていた通り植民地たる、ブゥが以前暮らしていた国の男性に伴侶としてあてがわれるのだ。見送りながらも胸中は複雑だった。
本人ではないのは承知しているが『ソラァ』のクローン達なのだ。
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