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ブゥは自分の迂闊さを悔やんでも悔やみ切れない思いで唇を噛み締めながら助手の銃に腰を押される形で博士の後を歩かされた。きっと管理対象の居なくなったばかりの研究室に連れて行かれるのだろう。
しかし、あれだけここの設備を調べた上で目を盗んだつもりだったのに見透かされていたとは、まだまだ人を疑う能力では彼の足元にも及んでいなかったと痛感した。生きるのは綺麗事ではない、ましてや相手は生命についてのみ狂気をまじえて考え尽くしているのだ。
やはり研究室へと続くルートを進んで行く。これから自分は解剖されるのだろう、研究対象というぐらいだから細胞を培養されて新たにクローンとして更に延々と分析されるのかもしれない。絶望の足音が反響する中で部屋が目前に近づいた時だった。
突然、博士が硬直したように床に倒れ小刻みな痙攣を起こし体全体から蒸気が立ち昇った。
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