回想

2/4
前へ
/60ページ
次へ
~1年後~ 小高い丘陵の上からずいぶん変化を遂げた街並みわブゥは見下ろしていた。傍にはソラァがいて一緒に不安定ながらも自分達の未来に希望を共有し、表情には穏やかな笑顔さえ浮かべていた。といっても動揺も無く晴れやかな心情を維持できるようになったのは、つい最近の事だ。あの時以降の混乱は記憶からは消せないからだ。 あの時... 蒸気を上げた博士の体はそのまま跡形もなく気体化して消滅してしまい、動転した助手は震えながらどこかへ走り去った。呆気にとられながらもブゥは命拾いした事を冷静に受け止め、情報収集に駆け回った。もちろん唯一、心配だったソラァの安否を確かめるために片っ端から部屋を捜し彼女の元気な姿を見つけると、その手を離さないままで走った。まだ彼女は黙ったままだったが、その瞳がブゥに「連れて行って。」と語っている。 まず、博士の研究室へ向かいパソコンを予め盗んでおいたパスワードで操作した。街の所々に仕掛けられたカメラからの映像をモニターに呼び出すと、何体もの衣服のみになった博士と同じ状態の人間の残骸が見受けられる。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加