始まりの終わり

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ここから見下ろす限り壁は水平線まで延々と続いている。車で走ってみたが一日や二日でたどり着ける距離では光景に変化は無かった。ブゥには元々、思い当たるフシがあった。 飛行機類の文献やデータは所々で目にするのに肝心の機体がどこにも無い、ロケット式砲弾まで完備している科学レベルでは先に開発されていて然るべきだ。抱いた仮説を裏付ける為にも兵器の噴射装置を流用して高度な上空からの写真が撮れる簡易な衛星を急いで作り上げた。電波に乗って送られて来た映像はブゥの想像に沿ったモノだった。 巨大な壁は『∞』の形状で二つの世界を隔てて、遥かに続いていると思われたのは、交差している一部に過ぎないのだ。つまり、こちら側が他方を支配しているのではなく、さらに大きなチカラによってこの関係自体が管理下で実験対象となっているのだ。
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