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その日…僕は解剖中に大変な失敗をしてしまった
感染したら大変な病気の人の細胞を傷ついた手で触ってしまった
すぐに病院に連れていかれて
入院を言い渡された
もしかしたら死ぬかもしれない
その言葉がショックで恐かった
先生や周りの人達も僕を心配してくれたけど
羽井君の顔が見れなかった
ごめんね羽井君…
僕は道具の価値もなくなってしまった
夕暮れ時
オレンジの光が僕を包んで
ボンヤリと考えごとしてた
すると
ドアが開く
「よぅ」
来たのは羽井君だった
驚いた
もう使えないのに
まだ見てくれるんだ
ちょっと嬉しい
「…すみません」
でもこの言葉しか出なかった
羽井君の顔が見れなかった
見たら泣いちゃうかも
「僕…もう羽井君の相手できなくなっちゃいました」
上手く笑えてだろうか?
「いやぁ僕も少し助かってるんです…そろそろキツくなっちゃってて」
ドン!
壁を殴る羽井君の顔が見れない
最後まで思い通りにならなくてごめん
怒ってるよね
「ふざけんな…」
「それ以外なら頑張りますから!パシりもこれまで以上に」
本当に言いたい事は違ったけど
言う資格がない
「もういい」
羽井君の重たい声が聞こえた
「道具なんてやめだ」
一言残して
羽井君は部屋から出て行った
響く足跡が聞こえなくなるのを我慢して
聞こえなくなった時
僕は思いきり泣いた
本当は僕を捨てないでと
僕を見ていて欲しいと
泣きながら縋りついて言いたかった
でもそれができるほど
僕に価値が無かった
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